ワークライフバランスという言葉を聞いたことがありますか?働き方改革が叫ばれている今日おいて、働き方を見つめ直すためには欠かせないキーワードですね。仕事とプライベートのバランスを考えるという意味のワークライフバランスですが、Amazon CEOのジェフベゾスはこの言葉に違和感を感じているようです。その代りに提唱されているのが、ワークライフハーモニー。一体どんな意味があるのか、ジェフベゾスの言葉とともに紹介していきます。
目次
ワークライフバランスの意味
政府は、「ワークライフバランス」を『仕事と生活の調和』と訳しています。この訳では、「バランス」の言葉が本来持っている『割合』という意味が薄れ、非常に良い意味になっているのですが、本来の「ワークライフバランス」という言葉は、プライベートと仕事のどちらか一方を選択し、一方を捨てるようなニュアンスが含まれています。ジェフベゾスはこのような『取捨選択』の意味を好まないと言っています。
ベゾスが考えるワークライフ"バランス"
Jeff Bezos' advice to Amazon employees is to stop aiming for work-life 'balance' — here's what you should strive for instead
- Amazon CEO Jeff Bezos says he believes the term "work-life balance" is a "debilitating phrase."
- Bezos revealed that one of the top pieces of advice he offers new Amazon employees is that they shouldn't view the two as a strict trade-off.
- Instead, Bezos thinks of his personal and professional pursuits as a "circle" rather than a balancing act.
(日本語訳)
ジェフベゾスはAmazonの従業員に対し、ワークライフバランスを目指すべきではないとした―その代わりに目指すものとは、
- Amazon CEO ジェフベゾスは、”ワークライフバランス”という言葉は衰弱させるフレーズだと考えていると述べた
- 新入社員にアドバイスする主な内容の一つは、プライベートと仕事を厳密なトレードオフの関係にあると考えるべきではない、ということだと明かした。
- その代わりに、ベゾスはプライベートの追及と仕事の追及は両天秤にかけるように考えるのではなく、円のように考える
つまり、ベゾスは仕事とプライベートのどちらかを犠牲にしようとする「ワークライフバランス」の考え方は、いずれ生産性を落とす(debilitating)と考えています。その代りに、人生を円と捉えて仕事とプライベートを追及するべきだと言っています。
ワークライフ "ハーモニー" の意味
ハーモニーは『調和』という意味です。仕事とプライベートの一方を捨てる『バランス』とは大きな違いがあります。Amazonでは「ワークライフハーモニー」を高めるために、フレックスタイム制や在宅勤務制度(Working From Home)が充実しています。また、OLP(Amazon社員が守る14か条)の中には「Bias for Action」といって、スピードを重視し大がかりな検討をせず、計算した上でリスクを取り実行するという信条が謳われています。
OLPについては別記事でも紹介しています。
ベゾスが考えるワークライフ"ハーモニー"
ワークライフ”ハーモニー”が保たれている状態について、ジェフベゾスはこのように語っています。
"If I am happy at home, I come into the office with tremendous energy," said Bezos. "And if I am happy at work, I come home with tremendous energy. You never want to be that guy — and we all have a coworker who's that person — who, as soon as they come into a meeting, they drain all the energy out of the room ... You want to come into the office and give everyone a kick in their step."
「自宅で幸せに過ごすことができれば、私はエネルギーに満ち溢れた状態で出社することができます」とベゾスは言います。「また、会社で幸せに過ごすことができれば、私はエネルギーに満ち溢れた状態で帰宅することができます。みんなこんな人物にはなりたくないと思っているでしょう、— 誰しもこんなタイプの人が同僚に一人はいると思いますが— 、みんなが会議に集まるやいなや、部屋中のすべてのエネルギーを消耗してしまうような人たちです。オフィスに入ったら、みんなに活力を与えるような人になりたいですよね」
人生は仕事とプライベートのどちらか一方だけで構成されているわけではありません。それぞれにおいて幸せな状態を追及することで、お互いに良い影響を与え合うのだとベゾスは言っています。
【おまけ】ベゾスは皿洗い担当!?
ジェフベゾスはご存知のようにAmazonの創設者であり現CEOです。相当忙しい毎日を送っていると思いますが、2014年にあるインタビューでこのように答えていたことがありました。
"I do the dishes every night. I'm pretty convinced it's the sexiest thing I do."
"私は毎晩皿洗いをしています。私はこれが私のすることのうち最もセクシーなことだと確信を持っています。
出典:House Beautiful "Is Hand-Washing Dishes A Secret To The Success Of Jeff Bezos and Bill Gates?"
後半はジョークですが、皿洗いをしていたことは事実のようです。多忙の中でも皿洗いを欠かさないのは、家庭でも円満に過ごすためというベゾスのワークライフハーモニーの考え方が体現された例ではないでしょうか。
まとめ
ココがポイント
- ワークライフバランスの「バランス」はトレードオフのニュアンスが含まれる
- トレードオフとは、一方を取得し、もう一方を捨てる考え方
- 仕事もプライベート:両方の幸せを追及するのがワークライフ"ハーモニー"
- ”ハーモニー”を意識すると、どちらにも良い影響を与える
この記事を書いた人:おまち