Amazon流のペルソナ：Empty Chairとは

自分のお客様をリアルに想像したことはありますか？

Amazonのミーティング（会議）には、必ず「Empty Chair（空いている椅子）」が用意されている、という噂をご存知ですか？「Empty Chair」は文字通り『誰も座っていない椅子』という意味です。これは何を意味するのでしょうか？「Empty Chair」の概念はペルソナに似ています。どのビジネスでも取り入れることができるので、参考にしてみてください。

この記事を書いた人：おまち

外資系IT企業（某EC界の巨人）に勤務のアラサー女子。都内在住。英検準1級だけを武器に転職成功。TOEIC最高スコア925。オンライン英会話（DMM英会話・Bizmates）のおかげで会議で英語を話せるレベルに。第一子妊娠中。投資やポイ活、アフィ活など生活を豊かにする情報も発信中！

Empty Chairとは？

ミーティング（会議）の本来の目的を思い出す

Amazon CEOのジェフベゾスがあるミーティングの際に、空いている椅子を一脚を持ってきて社員に向かってこう言ったという逸話からEmpty Chairの概念が広まりました。

（Empty Chairを指して）

the most important person in the room.

この会議室の中で最も重要な人物だ

「Empty Chair」は別名「お客様の椅子」とも呼ばれ、「そこにお客様が座っていたとしたら、私たちの意思決定に賛成してくれるだろうか？」という疑問を常に持ち続けるための小道具なのです。日ごろのミーティングの中で、とてもお客様に聞かせられないような話が飛び交っていませんか？当たり前のことですが、ミーティングは社員のために行われるものではありません、お客様のためです。ミーティングで話される内容が常にお客様にとって有益なものであるべきで、一脚の空いた椅子にお客様が座っていたとしたら、どんな反応をするか？喜んでミーティングの内容を受け入れてくれるか？という疑問を投げかけ続けるためのEmpty Chairなのです。

おまち

Amazonでは新入社員にまずEmpty Chairの概念を紹介します。

Amazonは地球上で最もお客様を大切にする企業であることを目指しています。全社員が指標としなければならないOLP（Our Leadership Principles）の一番目にもCustomer Obsession（常にお客様を中心に考えること）が掲げられているように、常にお客様を一番に考える文化が定着しています。OLPについては別記事でも紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

ミーティングでは何を話すべきなのか

あなたのお客様を明確に意識できていますか？

Amazonでは競合にも注意を払いますが、何よりもお客様に注目します。お客様にとっての価値を追及した意思決定は、短期的にみると利益が伴わない場合も少なくありません。しかし、それがお客様にとって真の価値であるならば、Amazonは喜んで長期的な利益を追い求めます。そのことについてジェフベゾスはこのように発言しています。

We are comfortable planting seeds and waiting for them to grow into trees, we don’t focus on the optics of the next quarter; we focus on what is going to be good for customers. I think this aspect of our culture is rare.

私たちは落ち着いて種を植え、それが木に育つのを待ちます。私たちは次の四半期のことにフォーカスせず、何がお客様にとって良いものなのかについてフォーカスしています。このような私たちのカルチャーの側面は珍しいと思います。

出典：Forbes "Inside Amazon's Idea Machine: How Bezos Decodes Customers"

また、ジェフベゾスはお客様にとっての価値のほかに、お客様が欲しくないものにも非常に敏感だと言われています。Amazonでは配送の遅れや商品の損傷、在庫がない商品などお客様にとってネガティブなものを徹底的に追いかけ、可能な限り少なくする努力をしています。フォーブスの記事によると、Amazonの計測では0.1秒のWebページの表示の遅延が、お客様の購買活動を1%下げることが分かっています。

おまち

このように会議で話すことを、お客様にとっての価値を高めることと、お客様へのネガティブな影響を少なくすることの2つに絞ると、同席したお客様が喜んでくれる会議になりやすいですね。

まとめ