歳を重ねれば重なるほど、ちょっとした会話を求められる場面が増えてきますよね。クライアントや社内の人と移動や休憩の場面で交わすささやかな会話、義理の両親・兄弟との空間を和ますための会話、ママ友や町内会の人との関係を良くするための会話・・・。
一方で「会話=無駄」という考え方もあります。たしかに、仕事中にお喋りしすぎると作業効率が悪化しますし、会話を優先するあまり大事な自分の時間を犠牲にしてしまうこともあります。
しかし、今回紹介するのは自分を取り巻く人間関係や自分の仕事を円滑にする雑談のちょっとしたテクニックです。上手な雑談は、むしろ仕事を効率的にし、新たなビジネスチャンスを引き寄せることもできるのです。これらのテクニックは難しいものではなく、話すことが苦手な人でも2つのテクニックを意識するだけで簡単に雑談を実りのあるものにすることができます。
それでは早速「雑談」について深掘りしていきましょう!
目次
なぜ「雑談」が重要なのか
まず第一に、この本(「超一流の雑談力」)が訴えるのは、"超一流の人たち"は雑談を通じて成功へのヒントを見つけているということです。人のイメージは「第一印象」でだいたい決まると言われています。その「第一印象」が決まる短い時間の中で、いかに「相手のこと」を知り「自分のこと」を伝えるのかが、その後の人間関係を左右することになるのです。
上手な雑談とは、「相手の情報を引き出すこと」と「自分の情報を伝えること」の組み合わせです。"超一流の人たち"は忙しい日々の中であっても、短い雑談を通じて相手との人間関係を深め、どんなビジネスチャンスも見逃しません。もちろん「超一流」になるには高度なテクニックと経験が必要になりますが、これから紹介する簡単な2つのテクニックを使うだけで、自分の周りの人間関係が良くなり、仕事のやりやすさを感じることになるでしょう。
「雑談力」がもたらす効果
「超一流の雑談力」では、雑談力が上がるとこんな変化が起こると紹介しています。
- 自分に対する印象や評価がガラッと変わる
- 仕事が驚くほどやりやすくなり、成果も上がる
- 苦手な人がどんどん減っていき、人間関係で悩まされなくなる
- どんな場所にも顔を出すことができるようになり、よい縁にも恵まれる
- チャンスにも恵まれるので「食うに困らない」
- 表情や気持ちが明るくなってきて、人生が充実しているように感じられる
出典:超一流の雑談力(安田正 著)
抽象的な内容が多く、胡散臭い感じがするかもしれませんが(笑)実際のところ、雑談によって得られるものはこれらのような目に見えない効果です。それも、人と人との感情的・精神的な繋がりをポジティブにするものです。仕事をしていく上で、必要以上に人と慣れ合ったり、他人を気にしすぎて自分の意見を押し込めてしまったりするのは良いことではありませんが、だからといって職場の人間関係をまるっきり断ち切ることは、自分自身の可能性を閉じ込め、人生の豊かさを遠ざけてしまうことになります。
上手な雑談は、簡単にいうと「相手のあなたへの印象」を良くし、「自分の相手への印象」も良くすることを期待しています。そうするとお互いに相手へのストレスが減り、ポジティブな側面が目につきやすくなります。肯定的な人間関係はお互いがさらに良い関係になろうとする気持ちに繋がります。こうして人を通じて良い縁、チャンスに恵まれるようになり、自分の人生をも肯定的に見られるようになるのです。
雑談力を上げる2つのテクニック
それでは早速、明日から使える2つの雑談テクニックを紹介していきます。
会話のタテとヨコの軸を意識する
会話はその人との相性や、その場の雰囲気によって盛り上がったり、そうじゃなかったりするものだと思っていませんか?実はこの「会話のタテとヨコの軸」を意識することで、意図的に会話を盛り上げることができるのです。
それは、会話における「タテ」と「ヨコ」という2つの軸です。タテの軸というのは、会話の深さのこと。これが深まると、相手との距離を縮めやすくなります。対してヨコの軸とは、何を話題にするかです。さまざまな話題をふりながら(「ヨコ展開」)、この人は何に興味があるのか、どんな話をすれば会話が深まっていくのかを探っていき、相手がのってきたところでその話題を深めています(タテ展開」)。
出典:超一流の雑談力(安田正 著)
この「タテ」と「ヨコ」の軸を理解するために、雑談が苦手な営業マンAさんの例を見てみましょう。
A「いやぁ~、今日はすごく暑いですね」
B「そうですねぇ、最近はずっとこんな感じですよね。」
A「はい。この季節はすぐに汗びっしょりになるので外回りも大変です。」
B「そうですよね。毎日お疲れ様です。」
A「ありがとうございます。それで、本日なんですが・・・」
会話の「タテ」と「ヨコ」の軸の概念がないAさんは会話が続かず、雑談がただの「ムダ話」になってしまいました。次に雑談が上手い営業マンAさんの会話を見てみましょう。
A「いやぁ~、今日はすごく暑いですね」
B「そうですねぇ、最近はずっとこんな感じですよね。」
A「はい。あまりにも暑すぎるので週末に行く予定だったキャンプを取りやめたんですよ。」
B「そうだったんですね。うちに小学生の娘がいるんですが、同じく暑すぎるからって遠足が中止になったんですよ。」
A「あら、それは娘さんがっかりしたでしょうね・・・。娘さんに週末どこか連れてって頼まれるんじゃないですか?」
(ブログが横書きなので分かりにくくなっていますが)クライアントBさんの感度が高い話題を探るために、「暑い」という天気の話から、休日の話を振ったところが「ヨコ」の軸の概念で、Bさんの「娘の遠足が中止になった」という事実を手掛かりに、家族との休日の過ごし方を掘り下げたのが「タテ」の軸となります。その後は、自分にも子どもがいるなら親として共通の話題(習い事のことや子どもとの過ごし方)を振ってみたり、最近のニュースや健康のことを振ってみたりしても良いでしょう。
会話が盛り上がっていないときは、どんどん連想ゲームのようにヨコに話題をずらしていき、食いついたところで深く聞いていくタテの軸を意識していけばいいのです。「タテ」と「ヨコ」の軸を意識した会話は、相手にとっても自分に興味を示してくれていることが伝わり好印象です。この「タテ」と「ヨコ」の展開ができるようになったら、ビジネスチャンスやビジネスアイデアなど、自分が知りたい情報を得るために応用することもできます。
雑談ノートをつくる
さきほどのテクニックで会話を盛り上げる方法が分かりました。しかし、せっかく話が盛り上がったにも関わらず、2回目に会ったとき、ついつい「あれ・・・前にどんな話したっけ」と忘れていることはありませんか?
たいていの人は1回目のコミュニケーションでせっかく距離を縮めることに成功しても、2回目ではその関係性をリセットして、また初めから関係をつくり直すことが多いからです。そうならないために、距離をさらに縮めるのに必要な情報を覚えておく。そのための雑談ノートということです。
出典:超一流の雑談力(安田正 著)
私はこの本を読むまで、人と雑談した内容をメモする習慣がありませんでした。そのため、この本が触れているように「どこ出身って言ってたっけ?」、「娘さんの名前なんだっけ?」など、その人の重要な情報をついつい忘れてしまっていました。せっかく話した自分のことを忘れられていると悲しい気持ちになりますよね。逆に、前に話したことを覚えておいてくれると非常に好印象です。また、前に一度聞いたことを再び聞くのは非効率でもったいないですね。Microsoft OfficeのOne Noteや、Windowsのメモ帳などにメモを取っておきましょう。雑談した内容をメモしている人は少ないと思うので、他の人と差をつけられるポイントです。
ほかにも、本ではすぐに真似できるたくさんのテクニックが掲載されています。興味のある人は実際の本を読んでみてください。
まとめ:雑談力について
ココがポイント
- 上手な雑談は、人間関係を円滑にする
- 上手な雑談は、人と人との感情的・精神的な繋がりをポジティブにする
- 雑談は、「相手の情報を引き出すこと」と「自分の情報を伝えること」の組み合わせ
- 会話の「タテ」と「ヨコ」の軸を意識する
- 雑談で話したことをメモにとっておく