「インポスター症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
「インポスター」とは「詐欺師」のことを指し、別名「詐欺師症候群」や「ペテン師症候群」とも呼ばれることもあります。
自分に自信がない人や謙虚すぎる人、完璧主義な人はインポスター症候群かも!?
この記事ではインポスター症候群の解説、具体的な症状と原因、克服する方法について紹介します。
この記事はこんな方におすすめ
- 完璧主義の性格に悩んでいる人
- 人から評価されるのが怖いと感じる人
- 成果を出すたびに「運が良かっただけ」と思ってしまう人
目次
インポスター(詐欺師)症候群とは?
「インポスター症候群」とは、仕事で成功しているにも関わらず、自分自身を過小評価してしまう心理状態のことを指します。
この状態にある人は、たとえ成功を証明するような客観的なデータがあったとしても、評価されたのは「運がよかっただけ」と考えたり、「実力以上の能力があると相手に信じ込ませた」などと考えたりする傾向があります。
インポスター症候群を抱えている人には有名人も多く、俳優のトム・ハンクスやハリー・ポッターシリーズで優等生ハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンも「インポスター症候群の傾向がある」と告白しています。
しかし、インポスター症候群の症状があるからといって、深刻に考えすぎる必要はありません。
インポスター症候群は「病気」ではなく、あくまで「心理状態」ととらえられています。
また、一説によるとインポスター症候群の心理状態によって人は努力を重ね、成功することができるのではないかとも言われています。
では、具体的にどんな人がインポスター症候群になりやすいのか、その症状や克服する方法について詳しく見ていきましょう。
インポスター症候群になりやすい人の傾向
一般的に、このような傾向のある人がインポスター症候群になりやすいと言われています。
- 完璧主義
- 勤勉
- 失敗が怖い
- 自分に自信がない
- 「どうせ」や「ただの」などが口癖
インポスター症候群の傾向が見られやすい人として、社会的に過小評価されやすい文化的・人種的マイノリティの人も挙げられます。
本来、マイノリティだからといって過小評価されるようなことはあってはいけませんが、そういった社会的な傾向から「自分は成功に値しない」と思い込んでしまうことがあるようです。
また、自分にふさわしくないと思う分野で活躍した人にもインポスター症候群の傾向が見られやすいとされています。
あのエマ・ワトソンは、「ハリー・ポッターシリーズの後、自分にまったく自信が持てなかった」と言っています。
幼いときにオーディションでハーマイオニーの役を勝ち取ってから、一気に人気女優となった経緯から、「本当はここにいるべき人間ではないのではないか」、「人気と実力が釣り合わないのではないか」と思うようになったのかもしれません。
インポスター症候群の具体的な症状
インポスター症候群の人には、このような症状が見られるといわれています。
- 自分が偽物だとバレないか怖れる
- 人を騙しているような感覚がある
- 評価されることが精神的苦痛に感じる
- 準備したり考えたりすることに時間をかけすぎる
- 自分の能力や実力を人に隠そうとする
インポスター症候群の傾向が強いと、日ごろの精神的なストレスに加えて、準備したり考えたりすることに人よりも多くの時間を費やしてしまうことで、身体にもストレスがかかり、慢性疲労や睡眠障害の症状がでることもあるそうです。
インポスター症候群になってしまう原因
インポスター症候群の症状が出てしまう原因には、このような深層心理・過去の経験があると考えられています。
- 同調圧力に従おうとする深層心理
- 成功して妬まれたくないという深層心理
- 「女性は控えめにするべき」などの社会的な価値観
- 「お前は〇〇できない」などの成功を否定された経験
- いじめられたり、からかわれたりした経験
世間の価値観や育った環境によって、知らず知らずのうちに刷り込まれたネガティブな深層心理が悪さをしているのかもしれません。
インポスター症候群を克服する方法
インポスター症候群は病気ではないため、ただちに治そうとしたり、精神科にかかったりする必要はないといわれていますが、症状を和らげることで心身のストレスを減らし、より生き生きとした毎日を送れるようになるでしょう。
ここでは、症状を和らげるいくつかのアイデアを紹介します。
ゴールを見える化して、達成できたら自分を褒める
仕事でもプライベートでも、日ごろの作業を細分化+見える化し、達成できたことに線を引いていくのがおすすめです。
視覚的に自分がやり遂げたことを認識することで、「できた」という達成感を味わうことができます。
インポスター症候群の人は自己肯定感が低いため、小さなことでも自分を肯定する経験を積み重ねることが大切です。
チームを頼る・仲間と協力する
インポスター症候群の人は、人に自分が偽物だと思われないように隠れて努力したり、自分の能力を人に隠そうしたり、人とあまり接触せずに取り組んでしまう傾向があります。
そのため、意識的に同僚に仕事をお願いしたり、同僚と協力して仕事に取り組むことで、他人との違いや一人ひとりの個性、長所や短所に気づくことができます。
インポスター症候群の人は完璧主義の傾向もあるため、他人との関わりは誰一人として完璧な人間などいないことを改めて認識する良い機会になるはずです。
「すみません」「ごめん」を多用しない
なにか間違いをしたときにすぐに謝れるのは人として素晴らしいことですが、過失がないのにも関わらず「すみません」や「ごめん」を多用していませんか?
インポスター症候群の人は、必要以上に自分を卑下したり、自分を守るために謝ったりする傾向があります。
謝罪の代わりに「ありがとう」を使うようにすると良いでしょう。
「わざわざ〇〇させてしまってすみません」というより、「わざわざ〇〇してくれてありがとう」と言ったほうが、言った人も言われた人も温かい気持ちになれますよね。
この手法は、よりよい人間関係・職場環境をつくるのにも有効だと言われています。
インポスター症候群まとめ
いかがでしたか?
インポスター症候群は自覚できたからといってすぐに克服するのは難しいと思いますが、「自分にはこのような傾向がある」と客観的に自分を見つめることで、余計なストレスを防ぐことができます。
なりたい自分に近づけるよう、インポスター症候群とは上手に付き合っていきたいものですね。