Amazonについて調べていると、よく見かける「Working Backwards(ワーキングバックワーズ)」という言葉。
これは、「地球上で最もお客様を大切にする」をモットーにしているAmazonにとって非常に重要な考え方です。
この記事では、過去にAmazonの面接に受かったことのある筆者が、Amazonへの入社や転職を考えている人向けて「Working Backwards」を詳しく解説していきます!
この記事でわかること
- 「Working Backwards」の意味
- 転職や面接で「Working Backwards」を活かす方法
- 「Working Backwards」の具体的な方法
目次
「Working Backwards」の意味とは
まず、結論からいうと「Working Backwards」とは「お客様を起点に考える」という意味です。
もともと「backwards」という言葉には「前後逆に、後ろから」という意味を持っているので、「Working Backwards」を直訳すると「逆から(後ろから)働きかける」という意味になります。
この「逆側(後ろ側)」にいるのは「お客様」です。
つまり、Working Backwardsは「お客様に向かって働きかける=お客様を起点に考える」という意味なのです。
でも、まだ具体的にどういうことなのかよく分からないですよね。
Amazonが目指すのは、「地球上で最もお客様を大切にする企業」
Amazonはこれまでずっと「地球上で最もお客様を大切にする企業」を目指してきました。
この理想があったからこそ、Amazonは翌日配送や置き配、月数百円でさまざまな特典が受けられるPrime(プライム)などのお客様にとって便利で嬉しいサービスをいくつも実現することができたました。
より一層、お客様にとって素晴らしい企業を目指していくために、創業者であるジェフ・ベゾスは社員に16項目*の社訓を掲げました。
*2021年7月に新しいOLPが2つ加わりました。
これが有名な「Our Leadership Principles(リーダーシッププリンシプル)」、略してOLP(オーエルピー)です。
このOLPの最初の社訓であり最も重要なのが、「お客様にこだわる」という意味の「Customer Obsession(カスタマーオブセッション)」です。
常にお客様にこだわり続けるために、お客様を起点に考えるWorking Backwardsの考え方は欠かせないものとなっています。
OLPについては別記事で詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
具体的なWorking Backwardsの方法とは
さきほどもお伝えしたように、「Working Backwards」は「お客様を起点に考える」という意味を持っています。
このように考え方の一つとして「Working Backwards」という言葉が使われることもありますが、もっと具体的な手法について指すこともあります。
これを「Working Backwards法(Method)」と言います。
「Working Backwards法」とは、「なにか新しいプロジェクトやサービスを始める際に、まず最初にプレスリリースを書くこと」を意味します。
「プレスリリース」とは企業の広報部が公式に発表する文書のことで、新しい商品やサービスがお客様にとってどれだけ魅力的で有益なものなのかについて詳しく書かれています。
一般的に「プレスリリース」というのは新しい商品やサービスが開始される直前に外部に向けて発表されるものですが、Amazonではこれ以外に「社内向けのプレスリリース」という意味を持ちます。
「Working Backwards」という言葉と一緒に語られる際の「プレスリリース」というのは、基本的に後者の「社内向け」のことを指しています。
つまり、「Working Backwards法」に従って先にプレスリリースを書くことで、新しいプロジェクトやサービスがお客様にとって本当に価値のあるものなのかを事前に詳しくイメージすることができるのです。
例えば、実際にプレスリリースを書いてみて「あまり詳しい内容が書けない」「あまりお客様にとって魅力的な点がない」となると、それは「Customer Obsession」が足りていないということが分かります。
より具体的なプレスリリースの書き方については、別記事で詳しく紹介しています。
同じくプレスリリースのことを指す「1ページャー」「6ページャー」についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
転職・面接で「Working Backwards」に備えるには
「お客様を起点に考える」という意味の「Working Backwards」は、地球上で最もお客様を大切にする企業を目指すAmazonにとってDNAのような存在。
そのため、面接で話すどんなエピソードにも「お客様についてこだわった」という軸が必要不可欠です。
「人事や経理で働いているので、お客様と直接関わることが無い・・・」という人も安心してください。
Amazonが指すお客様とは、一般消費者に限りません。商品やサービスを買ってくれる一般消費者のほか、卸業者や配送業者など業務に関わるすべてのステークホルダー(利害関係者)をお客様と呼びます。
Amazonの採用基準は、「OLP」に基づいています。
面接で聞かれる質問も、必ずOLPのどれかに関連した内容になっています。
面接を受ける前には、必ずOLPのすべてに目を通すようにしておきましょう。
Amazonの面接に絶対役立つ対策法について別記事で詳しく紹介しています。
Amazonへの入社を検討している人はこちらも参考にしてみてくださいね。
【+α】元・Amazon役員の言葉からWorking Backwardsを学ぶ
「Working Backwards」について、過去にAmazonの役員を務めたIan McAllisterさんがQuoraで投稿した記事の一部を引用します。
There is an approach called "working backwards" that is widely used at Amazon. We try to work backwards from the customer, rather than starting with an idea for a product and trying to bolt customers onto it. While working backwards can be applied to any specific product decision, using this approach is especially important when developing new products or features. For new initiatives a product manager typically starts by writing an internal press release announcing the finished product. The target audience for the press release is the new/updated product's customers, which can be retail customers or internal users of a tool or technology. Internal press releases are centered around the customer problem, how current solutions (internal or external) fail, and how the new product will blow away existing solutions.
(筆者による日本語訳)
Amazonで広く使われている「Working Backwards」と呼ばれる手法があります。私たちはどうやってお客様をそのプロダクトの虜にさせようかと考え始めるのではなく、お客様を起点に考え始めようとします。「Working Backwards」はどんな具体的なプロダクトの意思決定においても活用できると同時に、とりわけ新しいプロダクトやスペックを開発するときに重要となります。通常、プロダクトマネージャーは新しい企画を始める際に、完成されたプロダクトについて知らせる社内向けプレスリリースを書くことから始めます。このプレスリリースのターゲットは新しい、あるいはアップデートされたプロダクトのお客様で、小売りのお客様のほか、ツールやテクノロジーを利用する社内のユーザーもこのお客様になり得ます。この社内向けプレスリリースは、お客様の問題や現状の(内部的または外部的)ソリューションがどれだけ失敗しうるものなのか、また新しいプロダクトがどれだけ現存するソリューションを無効なものにしてしまうものなのかについて構成されています。
簡潔にいうと、社内向けのプレスリリースを先に書くことで、新しいアイデアがどれだけ価値のあるものなのかについて具体的に検証することができるということです。
【まとめ】AmazonのWorking Backwardsの考え方
いかがでしたか?
「Working Backwards」は、直訳すると「お客様を起点に考える」という意味で、具体的には「新しいプロジェクトやサービスを始める前に社内向けのプレスリリースを書くこと」を意味します。
先に社内向けのプレスリリースを書くことで、新しいプロジェクトやサービスがどれだけお客様にとって魅力的で有益なものなのかについて検証することができます。
これは、地球上で最もお客様を大切にする企業を目指すAmazonにとって、「Customer Obsession」と並ぶ非常に重要な考え方です。
Amazonの文化については他の記事で詳しく紹介しています。
こちらも参考にしてみてくださいね。
この記事を書いた人:おまち